「まほろ駅前多田便利軒」 三浦しをん を読んだ。多田と行天の間にはどこか女臭さを感じる。 [book]

IMG_0076_R.JPGテレビ東京の金曜深夜に「まほろ駅前番外地」というドラマをやっていて、気に入って見ています。

もともとは、この三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」が映画化され、それから派生してこのドラマがつくられたようです。

そのもとなる小説を読んでみたくなって読みました。

今をときめく、三浦しをんさんだけあって文章が上手いですね。物語もすごくよくできています。作品のテーマには家族とか再生みたいなことが背景にあって、まあ人は生きていれば傷ついたり、傷つけたりするわけです。

でも、その傷は何事もなかったように、元通りにはならないんだけど、結局いつかは再生していくみたいなことがテーマにあるようです。

それはそれでいいんだけど、自分がこの作品に興味を持ったのは、ドラマからで、それは何かと言えば、あの映像なんだよね。そして多田と行天の二人の掛け合いと関係。

70年代チックなドラマが妙によかったんだよね。そう、「探偵物語」や「傷だらけ天使たち」みたいな男臭さみたなもの。

情けなくて、だらしない、女々しくて、格好つけたがる。でも、プライドと男の意地みたいなのが見え隠れする。男って馬鹿だな~みたいな、でも憎めない。ドラマからはそんな懐かしさを感じたんだよね。

それで原作を読んだわけだけど、楽しかった。

ただ原作を読んでちょっとだけ、ほんの少しだけ、引っ掛かりを持ったんだよね。

小説の中の二人のやりとりを読んでいると、そこに微かに女の匂いを感じたんだよね。そして二人が持つ過去の出来事。二人のイメージからだとちょっと違うような気がするんだよね。

よく読むと、この二人って凄く頭がいいんだよ。つまり馬鹿じゃない。

女の人みたいに頭がいいんだよ。

自分が違和感を感じたのは、多田と行天の関係が男というより、女の同士の関係や距離感に近い気がしたからなんだと思うんだよね。

いや、作家の腕前で、かなり上手に男を書いてるとは思うよ。実際それは細かい話で、充分に二人を描けている。それは間違いない。

しかし、よくよく考えてみると、勝手にドラマを見て70年代のイメージでこの作品読んでいたからそう思ったわけで。実際には小説が本当なんだよね。

そう考えて見方を変えると、今の時代の男ってのは、むしろこれがリアルかな~っ思ったんだよね。

草食系男子なんて言われたり、女性の男性化とか言われている時代なわけじゃん。

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 文庫

つまりさ、三浦しをんの書いた多田と行天

の関係こそが、現代の「傷だらけの天使」や「探偵物語」なのかもしれないなとあらためて思ったわけ。だとするとドラマより小説の方が全然いいね。

気になる方は読んでみて!さらりと読めます。

 


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